良いハサミって何だろう?…切れ味の良さとや長切れといった機能を超えた先にある、理美容師にとって無くてはならないと思えるほど身近で、さらに長く使える道具であること。
理美容ハサミメーカーは国内に150社ほどあると言われているけど、実際に、型抜きされた部材の段階から職人が手を入れ、完成品としてのハサミまで仕上げている本来の製造メーカーと言えるのはわずかに30社ほど。この30社から完成品のハサミを仕入れ、ここに自社ブランドの商品名を彫刻またはレーザーで刻印して販売しているのが、先ほどの150社ということになり、これを相手先ブランドでの生産(OEM)と呼びます。
なので、ハサミの形状や材質が全く同じで、価格だけが違うという品物が、それぞれのハサミメーカーや商品として流通しているということになります。これはハサミメーカーでは当たり前のことでも、理美容師さんにとってはあまり知られていないことかも?でも、これは自動車メーカーでもあることで、ダイハツで作った軽自動車が、トヨタブランドで売られているのと同じなんです(笑)
そんな、国内に30社ほどしかない製造メーカーの中で、今回たまたまご縁をいただいたハサミ工房があったので、社長さんから詳しいお話をうかがったり、工房の様子を見させていただくためにお邪魔させていただきました。
こちらのハサミ製造メーカーは、アメリカを始めとして、韓国、台湾など輸出を中心に理美容ハサミ、ペット用ハサミなどをOEM生産している会社で、主力としているのが、1000米ドル、つまり11~12万円で流通しているプレミアムシリーズ商品が中心。現在は外国からのOEM注文に応えるのが精いっぱいで、国内販売はほとんど行っていないというけど、これほど高品質な理美容ハサミが日本国内で知られていないというのも残念な話。
そこで、説明を受けた中で特に「これ、すごいかも?!」と感じたハサミがあったので、サンプルをお借りして、理美容師の皆さまにご紹介することにしました。それでは行ってみましょう!
抜けの良いカット&セニングとは?!
現在、理容師さんが特に好んでお使いになるのが、梳き率40~50%のカット&セニング。つまり、通常のカットシザーと同じ感覚でお使いになると、挟んだ毛量の40%から50%の髪の毛がカット出来るので、すくい刈り、連続刈りなどを行うことで、よりナチュラルなカット面が短時間で作れるというものです。
こうしたすくい刈りや連続刈りに加え、髪の毛の中間部にハサミを入れ、そこから毛先に向かって引き抜くことが、今までのどのセニングハサミより軽く、スムースになったのが、こちらの「Zion AWK6013Ⅶ」というカット&セニングシザー。
見た目は普通のスキバサミですが、刃を開いてみると、その構造の違いが分かります。スキバサミまたは、セニングシザーというのは、片方がクシ刃、反対側が棒刃になっているものがほとんどですが、このハサミは、両グシタイプと言って、どちらの刃もクシ刃となっています。
さらには、ハサミを閉じ切った状態では、切らずに残した髪が、刃と刃の間の空間にすっぽり入ることで、髪の毛の中間部にセニングを入れ、閉じたままハサミを引き抜くという使い方であっても、抵抗感をほぼゼロというレベルに近づけています。実際、自分がモデルウィッグでカットテストさせていただいたときは、5cmという分厚いスライス幅の髪の中間部にセニングを入れて引き抜いても、抵抗感もなくスーッと引くことが出来ました。それは、ハサミを閉じたときに出来る、赤で印を付けたすき間から髪の毛が抜けてくることから生まれたものです。
理美容師の皆さんのお手元にあるセニングシザーをご覧いただくと分かりますが、クシ刃と棒刃が組み合わされたセニングシザーでは、この隙間の中には先端に鋭い刃を付けた棒刃が見えているはずです。そのすき間を髪の毛が抜けるのですから、キューティクルが棒刃の先端の鋭角な刃に擦れながら抜けることで、抜けが悪いまたはキューティクルが傷つくという現象が起こります。
こうしたことからも、髪の毛のダメージを最低限に抑えつつ、理美容師さんのお仕事をより快適に行うことの出来る道具作りに対してこだわりを持って開発していること、そして、それを実現する技術力を持っているハサミ製造メーカーであることがが伝わるのではないかと思います。
また、どれほど優れた道具であっても、メンテナンスが頻繁に必要になるのでは困ります。良い切れ味であり、さらには長期間にわたり長く使えることが大切になることから、材質に対しても気を配り、こちらのハサミでは、日立金属株式会社の「ATS314」というステンレスコバルト合金を使用しています。ATS314は、コバルト合金を混ぜることにより高い硬度、優れた耐摩耗性を持ち、鋭い切味で長切れすることで知られている、ハサミに使われる鋼材の中ではトップクラスの品質を持ったものです。
正直なところ、お値段は決してお安いものではなく、定価108,000円(税別)となります。ただ、カット&セニングは日々のお仕事の中で必ず活躍してくれ、さらには皆様のお仕事への負担も軽減してくれることから、購入後の使用頻度として考えていただくと、コストパフォーマンスは高いものになるのではないでしょうか?特に、キレイな仕事をしながらも、スピード感を求めて行きたいという理美容師さんにピッタリではないかと思います。
また今回は、自社のホームページも持たず、カタログも制作してないということから、この「理容よもやま話」ブログでの紹介に限りということで、期間限定での特別価格をいただくことが出来ました。このハサミの特別価格が知りたい!という方は、FacebookメッセージやLINEトークから、「Zionカット&セニングの特別価格を教えてください」とお声掛けください。
また、購入を前提考えてはいるけど、最終決定は実際に試してからにしたいという場合は、サンプルシザー貸し出しも検討しています。こちらは、大和理器からハサミをレターパックでお送りし、3日ほど試していただいたのちにレターパックでご返送いただく形を考えています。なお、この場合の返送料はご負担いただけますようお願いします。
それでは、よろしくお願いします。